Nishicon開発秘話 検定管理システム  戻る

 1989年(平成元年)11月から翌5月にかけて東陶機器様の検定管理システムの開発を行いました。
この年の8月まで9年半、新日鐵システム部様に出向しており、その間は基本的にCOBOL言語での開発または保守作業を行っていました。

 検定管理システムはPC(NEC PC9800-ES)1台のスタンドアロンシステム、開発言語はC言語でした。C言語は帰任してから一通り勉強はしていましたが遊び半分のプログラム作成とシステム構築するとでは随分と違っていますし、新日鐵ではバッチ処理が主でしたから画面処理のイメージが上手くつかめませんでした。

 そこで当時のシステム技術部の神原部長に自分はサブリーダとして優秀なリーダの下で勉強させて下さいと申し出しましたが、30才過ぎているのにそんな悠長な事を言っておられるか? リーダするか止める(辞める?!)か決めろと言われ、不安ながらリーダをする事にしました。

 この仕事は、当時東陶機器様に出向していた用正さんからの紹介で、元々同じ管理部だった私が開発担当する事になりました。受注金額は760万と決まっており、その頃のPCのシステム開発費用の相場が2〜300万の時代でしたから高額な受注だったと思います。また私はユーザ先に出向いて打合せをした事が無かった為、初めはシステム開発グループの花田課長が同行してくれました。途中からは大谷さんと打合せに行きました。

 この検定管理システムは、東陶機器様の中で使っている各種親ネジの検定を行います。親ネジとは、(正確には把握出来ませんでしたが..)出荷する製品のネジ部分に入れる子ネジの合否判定をする元ネジ(めねじ又はおねじ)の更に元ネジだったと思います。
 毎日何十回?何百回とネジると摩耗する為、ネジの種類によって3ヶ月、6ヶ月、1年単位に各東陶工場から検定室に持ち込まれノギスやマイクロメータで計測し摩耗の合否判定をします。判定は合格、黄色合格、不合の三種類です。当時の判定方法はネジ種類、サイズ、ピッチ(外径、内径)等に合否判定の計測値範囲が書かれている台帳(多分JISのハンドブックを元にサイズ等で計算した結果一覧)と計測値を照らし合わせて1本づつ判定していました。親ネジの種類、サイズは1000種類以上で現品は5万本以上有りましたから結構大変な作業だったと思います。

 新しいシステムの目玉は、ある計測器会社が売り込んできたテレメジャーという発信装置付きのノギスとマイクロメータでした。計測後ボタンを押すと計測値を無線で受信器に送ります。これをRS-232Cケーブルで接続したPCに取り込み、ネジ種類、サイズ、ピッチ(外径、内径)等で28種類のJISの摩耗計算式に当てはめ計算し合否判定するシステム構想でした。

 この時代のPCのOSはMS-DOSですから当然1つのJOBしか実行出来ません。メニューで受信モードに変えて計測値の受信のみを行います。受信はRS-232Cのループバッファから読込みを行い特に問題無く出来ましたが、実際に送られてくるデータは計測値のみでネジの種類もサイズも現品番号(キー)も有りません。これをどうやってネジ種類、サイズ等の28種類の計算式に当てはめて計算すれば良いか...

 ネジの種類によって登録日または前回検定日から3ヶ月、6ヶ月、1年単位で検定室に送られてくる事から、当日搬入される現品は基本的に把握出来ます。但し各工場から必ずしも予定通りに搬入されて来ないネジもあります。またノギス、マイクロメータで計測する場合はネジ種類毎にサイズの大きいネジから測定する事が分かりました。最初にノギスを広げて少しづつ狭めていくと効率良く作業出来るとの事でした。

 当日搬入される予定の現品をネジ種類、サイズの大きい順にソートして作業指示書を出力する事にし、基本的にこの作業指示書の順番通りに計測をして頂く...もし搬入されず計測が出来なかった現品があれば「×」を書き込むようにお願いしました。片やRS-232C経由で受信した計測データは計算式を当てはめる前に、計測出来なかった現品(作業指示書の×印分)があれば当日検定分から計算対象外にする機能を設け、それ以外のデータに対して受信した計測値を順に当てはめて一気に計算する仕組みとしました。キーを見ないでも並んでいるはず、マッチしているはず...処理は見事?問題無く出来ました。この方法は、出向していた新日鐵厚板バッチ生産管理システムの作業指示の考え方を参考にしました。

 これまで1本づつ台帳を見ては合否判定していた作業が、ノギスを当て送信ボタンを押す、全てのネジの検定が作業終了したら、PCの受信モードを判定メニューに切替て一気に合否判定の処理を実行するだけとなりました。最後にこの合否判定結果を確認し、問題無ければ検定実績の更新を行います。今まで行っていた親ネジ台帳への書込みも自動となり、元々のシステム(東陶の担当者様がExcelのマクロで作成していた)のような面倒な作業も無くなりました。

初めてのリーダで、初めて開発したPCシステムが完成した日でした。

28種類の摩耗計算サブルーティンと帳票の大部分はシステム開発グループの岡田さんが作成してくれました。
いろいろと教えて頂きました。感謝しています。


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